【CFOは“約束”の仕方を工夫する】『現代の金融入門』池尾和人
【裸のCFO - 114.0 時間】A : 6.0 時間 B : 10.0 時間 C : 74.0 時間 D : 24.0 時間
目次
第1章 金融取引
第2章 銀行システム
第3章 金融政策と中央銀行
第4章 資産価格とそのバブル
第5章 日本の企業統治
第6章 金融機能の分解と高度化
第7章 金融規制監督
感想
「入門」と呼ぶには少し難易度が高いですが、「金融って一体なんなの?」という方には、第1章だけでも読む価値があると思います。
金融取引とは、「現在のお金と『将来時点でお金を提供するという約束』を交換する」こと。
その約束の仕方が、Debut か Equityなわけで、Debutは、金額が確定している約束。一方のEquityは、それが変動する。
金融取引には、資金の移転とリスクの移転という効果があって、資金提供者へのリスクは、Debut / Equityなど金融契約の内容を工夫することで移転、分担され、需要者へと資金は循環する。
CFOは、この約束の仕方を絶妙にこなさなければならない、ということなんでしょうね。
最近のビットコインの事件なんかで「金融ってなんかうさん臭いな」という世論を感じますが、それは全くの誤解だと思います。
金融はその名の通り「お金を融通する」こと。本書では、黒字主体から赤字主体への融通と表現していますが、簡単に言ってしまえば、お金を持っている人から必要としている人への融通です。
例えばあなたの目の前に、100万人という難病患者を救える技術を持った人間が現れます。でもその人は、資金が無くてそれを実用化できない。とりあえず1億円あれば事業を始められる。
あなたと、その周りの9人は資金的に裕福で、1000万円くらいなら貸せそうです。
金融機能が無ければ、どうなるでしょうか?技術は、埋もれます。
本書でも指摘しているのですが、「金融はうさん臭い」「アンチ市場経済!」という認識は間違っていて、「市場経済であることが問題なのではなく、その質が低いことが問題」なのです。
今回のビットコインの事件は、ビットコインという金融機能、もしくは決済機能そのものが悪なのではなくて、機能を取り巻く制度的なものから含めて、まだその質が低かった、ということだと思います。
裸のCFO