12年経った今、何が到来し、何が到来しなかったのか?「フリーエージェント社会の到来」
裸のCFOです。
このブログのタイトル「10000時間でプロになる」にもある「プロ」とか「プロフェッショナル」という言葉に、みなさんはどんなイメージを持たれますか?
こんな感じでしょうか。
2002年、「フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか」という刺激的なタイトルで始まる本書での「フリーエージェント」は、この「プロ」に近い存在です。近いという意味では、少し前に巷を賑わせた「ノマド」もそうかもしれません。
- 組織に属さず自分のペースと場所で仕事をする人
- 自由であり、自己責任の仕事をする人
- 何となく“くりーえーちぶ“でかっこいい!安藤美冬嬢!な人
人が「プロ」に憧れること、「ノマド」ブームがやってきて去ったことは、12年前にセンセーショナルな内容で世に出た本書が言う「フリーエージェント社会」の何が到来して、何が到来しなかったのか(もしくは到来したけど去ったのか)を批評する一つの事例です。ある程度の時が経た今、それを深く掘り下げてみたいと思います。
形としてのフリーエージェント、気持ちとしてのフリーエージェント
本書で定義される三つのフリーエージェントのカテゴリーには、「フリーランス」「臨時社員」「ミニ起業家」があります。
例えば、特定の組織に属さない「フリーランス」の観点から、「ノマド」あるいは「ノマドワーカー」を見れば、非常に近い働き方に見えます。
つまり、先に触れた「ノマド」ブームの到来は、フリーエージェント社会の到来とも言えるわけです。しかし、定着しなかった。
過去にTechwaveが取り上げた本書の書評の中で、「形としてのフリーエージェント、気持ちとしてのフリーエージェント」という表現があるのですが、なるほど「ノマド」ブームが到来したことは「気持ちとしてのフリーエージェント」社会はやってきたのかもしれないが、ブームが去ったことは「形としてのフリーエージェント」が定着しなかったことの表れだろうなと思います。
仕事と家庭の「ブレンド」
気持ちとしてはフリーエージェント社会の到来を垣間みたが、形としてのフリーエージェントは未だ定着していない、その理由は何か?
その一つに、仕事と家庭、あるいは生活に対する日本人の価値観があると思います。
少し前に有名ブロガーChikirinさんの記事が話題になりました。記事の内容は読んでもらうとして、この問題の原因は、「終身雇用を前提として、すべての社会問題を解決しようとするから」でした。
この「終身雇用を前提として」というのが、「気持ちだけのフリーエージェント社会(形として定着しないフリーエージェント社会)」の理由に近い気がしていて、つまり、やっぱり「雇用される」ことを大多数の人が臨んでいるんだと思うんです。「ノマド」ブームが落ち着いたのは、「やっぱり雇われていた方が良いんじゃないか?」とブームに乗った人が気付いたからなんじゃないでしょうか?
安藤美冬さんノマド卒業か 多摩大学の常勤講師に - Togetterまとめ
こんなTogetter が34,000以上のviewを獲得するなんて、「ほら、やっぱり雇われていた方が良いだろ」みたいに半分は思ったからじゃないかと。
仕事と家庭の場面でも、二者択一をする人は少なくなってきている。人々は仕事と家庭の両方を選択し、試行錯誤しながら、自分にとって適切な組み合わせ方を見出そうとしている。
本書ではこう述べられているけれど、僕はまだ、日本人が仕事と家庭を「ブレンド」し始めるのに、時間が掛かると思います。「雇用される」以上、仕事と家庭は「区別する」ことになりますからね。
まず「形としてのフリーエージェント」が定着したあとじゃないでしょうか、仕事と家庭に対する日本人の価値観が「ブレンド」し始めるのは。
フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか
- 作者: ダニエルピンク,玄田有史,Daniel H. Pink,池村千秋
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2002/04
- メディア: 単行本
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