裸のCFO - 10000時間でプロになる。

某メーカー系スタートアップでサプライチェーン・マネジメントを担当している著者が「10000時間の法則」を真に受けて、“事業を創れるCFO”になるまでの10000時間を記録するブログです。世界を目指す研究開発型のプロダクト系ベンチャーを興すのが夢。技術や市場動向から、経営戦略やマーケティング、ファイナンス、それからVCについても書きます。お問い合わせは、hadakano.cfo[at]gmail.comまで。

ド素人がサントリーのビーム社買収を考えた。

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先日発表された、サントリーによるビーム社買収は、国内企業による海外企業の買収として記憶に新しいところです。

サントリー、「ジムビーム」製造元を買収へ(読売新聞

サントリーホールディングスは13日、バーボンウイスキー「ジムビーム」などで知られる蒸留酒世界第4位の米最大手ビーム社を160億ドル(約1・7兆円)で買収し、完全子会社にすると発表した。最近の日本企業の海外企業買収としては、ソフトバンクによる米携帯電話大手スプリント・ネクステル(現スプリント)の買収(約1・8兆円)などに次ぎ、食品業界ではこれまでで最大規模となる。サントリーは、世界の蒸留酒メーカーで売上高10位から3位へと上がる。

 私自身は、まだM&Aの経験がありません。お恥ずかしながら、知識も非常に浅いです。しかし“事業を創るCFO”を目指す以上、来年あたりにやってきそうなチャンスを獲れるよう、準備が必要です。

その準備として、ど素人の視点でサントリーによる買収を考えてみます。ここでは、あえて今回の買収に関わる情報収集(特に、識者による見解など)をせずに、仮説として書きます。

サントリーと言えば、何もウイスキーのような蒸留酒だけを販売しているわけではありません。「伊右衛門」のようなソフトドリンク、「プレミアムモルツ」のようなビールなど、幅広いヒット商品を有します。少し課題設定が極端ですが、牛乳メーカーを買収しても良かったのでは?とも考えられます。

それでは、なぜビーム社を買収先として選んだのか?

一つは、シェアの拡大です。

清涼飲料水やアルコール飲料といった消費財では、急な人口増などが無い限り、マーケットボリュームは限られているはずです。一人当たりが消費する飲料(アルコール含む)が急に2倍、3倍になることはまず無いでしょう。地球人が年間で消費する飲料はXリットルという一定の値で収束するはず。ならばそのXリットルの中で自社のシェアを拡大させる。これは、サントリーのケースでも目的として当てはまりそうです。

しかし、これだけでは「ビーム社でなければいけない理由」になりません。

そこで考えられる次の目的が、製品ラインナップの補完です。

サントリーと言えば、「山崎」や「角」など、人気ウイスキーブランドを有します。一方のビーム社は、同じウイスキーでもバーボン・ウイスキーの「ジム・ビーム」や、ウイスキー同様に蒸留酒の一種であるコニャック「クルボアジェ」を持ちます。

サントリーは、ウイスキーや蒸留酒という製品群の中で、バーボンやコニャックを製品ラインナップとして追加したかった。これも今回の目的にありそうです。

しかし、なぜウイスキーや蒸留酒という製品群を補完しなければいけなかったのか?例えば「牛乳」を製品ラインナップとして補完しても良いはずです。(サントリーは「乳性飲料」の扱いのみ)

最後に考えられるのが、買収先とのシナジーです。サントリー雪印メグミルク社を買収したら、どうなるでしょう?彼らの製乳技術を活かした新しい乳性飲料が出来る?ビールに合う新しいチーズを売り出す?あまり現実的ではありません。

これがビーム社ならば、例えば彼らの海外市場の販路を使って「角」を売る。ウイスキーの原料となる穀物を集中購買してコスト削減を図る。様々な相乗効果が見込めます。

これは、ビーム社側から見ても同じです。つまり、Win-Winなのです。

  • ウイスキー市場のシャア拡大
  • ウイスキー製品ラインナップの補完
  • 他の製品以上にシナジーが見込める

これが、サントリーがビーム社を買収した理由と考えます。数字の根拠などが薄いですが、あくまで仮説として。

さて、世間ではどういう見解なのでしょうか?もう少し分析した後、我が社にも当てはめて考えたいと思います。

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